今年のPMAカンファレンスの総会では、「最新の研究結果」が発表されました。
オープニングの総会では、毎年デボラ・ラッセン・アワードが発表されます。
今年受賞したのは、このピラティスの研究(Pilates Research)を総括した、Sherri Betzでした!
私が今年執筆させて頂いた「臨床スポーツ医学8月号」の「ピラティスの歴史」で紹介させて頂いていますが、全米理学療法士協会Bone Health委員会の委員長であり、PMA試験委員長も努められています。
ちょうど、武田先生が2015年に日本に招かれたばかりでの受賞のタイミング。武田先生に取材をさせて頂いた通り、日本国内でもこのSherri Betzが学会にて発表されたことで、実質的に医学会にてピラティスが認められた年ともなった素晴らしい方です。
さて、PMAでは「PMA Research Committee」という研究チームが発足し、以下の4つのテーマについて研究結果のハイライトが発表されました。
※意訳していますのでご了承下さい!
- ピラティス VS 静的ストレッチのハムストリングの柔軟性に対する効果の検証
- ハイポプレッシヴ・テクニックとピラティスは、安定筋を強化するかどうか?
- 女性の健康についてのピラティスメソッドの文献からの報告
- 腰痛に対するピラティスメソッドの効果
どのタイトルについても、ピラティス界では長年言われ続けていることであり、ピラティスの指導者であれば誰でも興味を持つことだと思います。
PMAの取り組みの素晴らしい点は、ある特定の団体だけの良さをアピールするのではなく、ピラティス界全体のために団体を超えてこのような研究チームを発足させ、それを共有していくことだと改めて思いました。
ピラティスの発展にとって、エビデンスは必ず後押しする重要な資料となるのは間違いありません。すでに世界各国やいろんな団体でも取り組まれています。
このような中、PMAとしてリサーチチームを発足することで、それらの情報を誰もがウェブ上でも閲覧できるようにもしている、とのことです。
「自分たちの団体はエビデンスがある」という排他的なアピールではなく、ジョーやクララにより生み出されたこのメソッドの恩恵を、皆で科学として共有する時代が訪れて来ていることを感じました。
そして、3日目の全体ミーティングでは、「どのようにピラティスのビジネスを成功させていくか」、ということについてのディスカッションもありました。
ここでは多くの質問が飛び交いました。
ほとんどの内容がピラティスオーナーからのものであり、私たち日本のピラティスオーナーが抱えている問題と同じでした。
ピラティスの情報発信を積極するためのコミュニティー作りについてや、ピラティス指導者は医師や理学療法士との強力な繋がりを持つ、というようなことがさらに重要になる、というのが印象的でした。
さて。
ピラティスの哲学・真髄についての学びに一番興味がある私にとって、これらの総会を通して感じたことがあります。
それは、
「ピラティスが進化するとは、果たしてどのようなことなのだろうか?」
ということです。
これには、多くの人が多くの考えを持っていることと思います。そして、私自身も今後の学びや経験により変わっていくと思います。
その上で、今回のPMAで感じたこと。それは・・・
「‘ピラティスが進化する’と言うことは、より明確なサイエンスの進化を通して今の時代に最も適した形で、ピラティスをピラティスとして取り組み、ジョーが強く話していた最終ゴールにさらに近づくこと。」と、私自身は個人的に感じました。
さらにそのためには、「やはりピラティスが何であったのか、という哲学や真髄がさらに必要不可欠になっていく」とも改めて強く実感しました。
今回のPMAカンファレンスは、まさに、「最新の科学への歩み」と、「本来のピラティスメソッドを再確認する」という構成になっている素晴らしい2016PMAカンファレンスでした。
そして、それらのことについては、師であるロリータのワークショップでも、ロリータが力強く、何度も何度も上記2点の重要性について話されていました。すごい情熱に、圧倒されました。そして、彼女自身がそれを実施し、体現されています。
今改めて、ジョーが書いた本のタイトルを思い出してみましょう。
「Return to Life through Contrology」
この本のタイトルの意味を、敢えて翻訳せずに、自身の解釈として考えてみたらいかがでしょうか。
櫻井淳子