大阪出張中、久しぶりに「テレビ」なるものに電源を入れてみました。
ちょうど画面にでてきた番組でやっていたのが、「マインドフルネス」の効果について。有名な番組のようですが、番組名を忘れました・・・(汗)
いろんな先生(専門家)が出て来て、それぞれの分野についてわかりやすく説明をされている番組です。
さて、ちょうど見たときに画面に大きく「マインドフルネス」と書かれていたので、私の目は反射的に釘付けになりました。
なぜなら、ピラティスメソッドの主要な要素のうちの1つが「マインドフルネス」だからです。
ピラティスインストラクターの皆さんは、それぞれの学校で、このマインドフルネスについて教えてもらいましたか?
ピラティスメソッドをピラティスとするための、本当に大事な大事な要素なのです。
ジョセフ・ピラティス氏が生まれた街であるドイツのメンヒェン・グラート・バッハにて開催されたピラティス国際遺産議会でもこのことについて、改めて触れられました。
また、ジョー(ピラティス氏)の直接の弟子でありピラティスメソッドの発展に貢献したエルダー達も、このことの重要性については強く説いています。
さて、このテレビでやっていたマインドフルネス。
簡単にまとめると、
「過去や未来ではなく、今この時に意識を向ける」とことで、ストレスや疲労が軽減され、気分がよくなり、免疫が高まったり集中力が高まったり、さらには長く続けると思いやりや感謝の気持ちが生まれて来るそうです。
実際に紹介されたその「今この時に意識を向ける」手段は、2つありました。
1つ目は、座骨の上にしっかりと座り、今このときの自分に意識を向けること。
2つ目は、体の動きを伴い、その時に自分のからだが「どこが今、その動きで、どんな感じをしているか」を感じる、意識を向ける。
ものでした。
そうすると、上記のような効果がある、ということが科学的に実証されているというのです。
実はこれ、ピラティスメソッドにも深く通じることなのです。
もっと言うと、昔の人達は科学的な証明をせずとも、このようなことについて確信を得ていたのでしょう。元科学者だった私だからこそ強く言えることがあります。
それは、科学的な解明をしなくても、核心かつ確信的なことが世の中にはたくさんある、ということです。
皆さんが、ピラティスレッスンを受けるために(または指導するために)、ピラティススタジオに行く場面を想像してみて下さい。
スタジオに入る瞬間。最もしなくてはいけないことを、皆さんは、特にピラティスインストラクターの皆さんはご存知ですか?
「過去、未来の自分を一旦入口の前に置き、今の自分だけで(スタジオに)入りなさい」
ということなのです。
そしてさらに、クラスの前半ではまさに「マインドフル」の状態になるべく、「今の自分、ただそれだけに意識を向かせるための時間」がとられるのです。これが、ブリージングだったり、プレピラティスだったり。
プレピラティスは、からだのウォームアップとしてもとても大事な時間ですが、もっと大切なことは「今の自分に全意識を向けること」なのです。
このように書くと、ピラティスも抽象的、瞑想的なものとして誤解されるかもしれません。
ですがこれは、非常に画期的であり、現在では科学的にも証明された、ジョーやエルダー達が大切にしてきたピラティスメソッドのプリンシパルの大きな1つです。
このことにより、どれだけ効果が大きく変わるのかについては、実際にこのような教育を受けてトレーニングした人にしかわかりません。ですが、一度体験すると、いろんな理屈抜きで「これぞピラティスメソッド!」という感覚が、自然に驚く程湧き出て来ます。
非常に言葉で説明がしにくく、私自身もこのような解説は難しく、従って今まで、このように文書で書いたことはありません。ですが、エルダー達(ちなみに、エルダーと第一世代には定義の違いがあります)は皆このようなことを熟知し、「マインドフルネス」ということばそのものを使ったり、その言葉は使わずとも同じ意味のことを書面で残したり弟子達に伝えてきました。
指導者の皆さんは、このことについてどれだけ学びましたか?
世界ではじめてジョー(ピラティス氏)以外に書かれたピラティス本にも、まずは冒頭から、このマインドフルネスについて長い時間を割き書かれています。何度読み返しても、胸が熱くなります。
そして、私が取り組んでいるLolita’s Legacyにも、繰り返しこの言葉は出て来ます。
Lolita’s Legacyを作ったロリータ先生は、ジョセフ・ピラティス氏に公式に認定を受けただけではなく、世界中で指導者養成コースが増えて行く中、何と「55年以上もピラティスに取り組み続けたあとから指導者養成コースの制作をはじめ」、つい2年前にコースを完成させました。
そして、ロリータ先生は55年以上の身体のプロとしての学び(特に解剖学についても豊富に!)を蓄積しながらも、マインドフルネスの重要性も強く説いています。
何かを伝える時に「理論」があると、非常に伝え易いです。説得力もあり、クライアントにとってはモチベーションにもつながります。私自身も、ピラティスに出会う前は物理化学の世界で「理論」を最も好み、生かしてきました。
一方で、言葉にしにくいけれども、大切なことがあります。
そのようなことは、少し遅れて今回のマインドフルネスのように科学的に証明されることがほとんどです。しかし、科学的に証明されるまでは、置き去りにされたり軽視されたりすることもまた事実です。最悪は、完全に忘れ去れることもあるかもしれません。
その時に、「いわゆる、わかりやすい情報だけを信じる」のか、「自分自身の取り組みによる’核心と確信’を信じるのか」。
どちらが良い、ということではありません、私が思うのは、前者は、いわゆるワークショップや勉強会などで得られる情報です。そして、わかりやすい情報というのは、時には普遍的なものではなく、時代と共に変わってしまうこともたくさんあります。
ですが後者は「自分がそのど真ん中で、試行錯誤して取り組まないと絶対に得られないこと」だと思うのです。その変わり、時代が変わっても真髄として、長くの残っていくものでもあります。そして、その後者があればこと、世間に流されず、自分が良い物を信じ、凛として提供して行くことが出来る指導者になるのではないでしょうか。
私は、解剖学が好きです。
今も学んでいます。
そして、私の勉強会では解剖学的知識もできる限り提供しています。
その一方、ピラティスをピラティスメソッドとしている哲学は、言葉で表現すると「一言」で終わってしまいます。ですが、それを実感し、体感し、習得するには、そのための長い取り組みが必要です。
でも、もしそのようなことまで習得したならば、想像以上の効果をピラティスメソッドは出すことができます。この
このようなことを知っているピラティス指導者達の指導方法には、ある一定の共通点があります。
例を上げるときりがありませんが、現在私が開催しているLolita’s Legacyも、この指導方法についても取り組みます。創始者のロリータ・サン・ミゲェルが哲学を理解しているからこそ、「ピラティスをピラティスとして指導する指導方法」があります。
ピラティスは、海を超えて日本に伝わりました。
日本人にとっては言葉の弊害もあります。
この、本来のピラティスを最大限に発揮するための「指導方法」こそ、日本に最も伝わっていないことの1つではないかとさえ、今では感じています。
ここで言っている指導方法とは、「どのようにエクササイズを変換するか、簡単にするか、モディフィケーションするか、プログレッションするか・・・」ということではありません。
ピラティスの哲学を前提としたキューイングそのものついて言っています。クライアント自身が自分の身体について自身を持ち、取り組める。また集中できる。身体に意識を向けられるよう、ピラティスは「キューイング」されるべきです。
みなさんは、その「ピラティスメソッドとしての」キューイングそのものについて、訓練を受けた経験はありますか?
このようなことができてこそ、マインドフルネスも含めたピラティスの効果を、出して行くことができるのでしょう。
もちろん!
理論を否定しているわけではありません。このような目に見えないことはしっかりと主張しないとすっかり忘れられてしまうので、強調して書きました。
私も引き続き、理論も哲学も学び、実践して行きます。そして、理論については理論の専門家からしっかりと学ぶ時間も確保して行きます。
ブログでは、全てお伝えすること、表現することは難しく、末筆で今日も失礼します!
是非、ピラティスを学びたい皆様も、2017年も一緒に取り組めることを楽しみにしています。
そして、何より。PILATES BODY STUDIOにて、ピラティスを通して貢献すべきことについて、さらに邁進して行きます。
第二世代ピラティスティーチャー(公認)
櫻井淳子